
マーケットにあるのは
コントのようなもの。
「名は体を表す」とは良く言ったもので、何かに名前を付けるときは「こんな風に思われたい」、「こんな感じになりたい」と願いを込めるものです。では、なぜ「コントマーケット」という店名にしたのか?っていう話なんですが、店舗ののれんに並ぶキーワードはもちろん、ここに記せない無数のやりたいこと、届けたいことがあるのは間違いありません。デザイン・クリエイティブの世界で生きている私たちコントが、「広告」以外の「リアルな場づくり」をする、その名も「コントマーケット」…と言いつつ、ある疑問が。それは「マーケットって言うけどさぁ、ここは何を売ってるんだ?」です。
演劇の名作に「ゴドーを待ちながら」という作品がありますが、このゴドーという人物を2人がひたすら待ってるという話で、結局ゴドーは出てきません。現代音楽の巨匠ジョンケージが作曲した「4分33秒」は4分33秒の曲ですが、その間、演奏者は音を出しません。「コントマーケット」もそれに近い存在でありたいと考えます。ビールが飲めたり、レコードも買えますが、そこに並ぶのはモノだけではない。むしろ形の無いものの方がたくさん並んでいます。たわいない会話や、妙にツボるユーモア、忘れられない出来事などなど。ぜひ店にふらりとお越しいただき、とっておきの「何か」を見えないショーケースから感じて、選んで、お楽しみください。
「疲れたし飽き飽きしたな」
「いっそのこと、場所を替えようか」
「それは駄目だ」
「どうして?」
「ゴドーを待つんだ」
「そうだったなぁ」
「おっ、だれか来る」
「来たか、今度こそゴドーか」
「ゴドーさんは、今晩は来ません。明日はきっと……」
株式会社コント
代表 河野智洋